ゲストハウスをつくるワケ(3)
館主(予定)のからいけです。
(2)つづき。
30代半ばにして真剣に将来について考え始めていたとき、一番頼りにしていた会社さんからいっとき仕事が来なくなりました。
9割以上の収入をそちらに頼っていたため、なかなか困ったことになったのですが、結果的にまたお仕事をいただけるようになり、収入面の不安は解消されました。
しかし、そのときに感じたのは、一つのところに頼る不確かさと、出版不況のこの業界だけで仕事をしていって本当に大丈夫だろうか、ということ。
本をつくる仕事はとてもやりがいがあり、楽しい。
でも、それだけで進んで本当にいいの?
他人任せではない、なにか。
それを探しはじめました。
当時の私はシェアハウスに住んでいて、初対面だったはずの住民同士が深く関わり合い、さまざまな相互作用が起こる毎日に面白味を感じていました。
東京ではシェアハウスが流行りはじめ、どんどんと不動産会社も参入してきた頃です。
シェアハウスの運営もいいなあ、そんなことも思いました。
決定的だったのは、金沢に一人旅をした際に泊まったゲストハウス「Pongyi(ポンギー)」さん。築100年以上の古民家を改修したゲストハウスで、そこに集う人たち(宿泊客やスタッフさん、その関係者たち)の幸せで楽しそうな笑顔を見たこと。
私もこんな場所をつくりたい!
強烈にそう思いました。
写真:兼六園